節税したい経営者が不動産を検討する前に。新築一棟・中古一棟・区分の違いを整理

利益を「使う」のではなく「残す」に発想が変わるとき

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会社の数字が伸びてきたとき、経営者が次に悩みやすいのは、意外と「どう稼ぐか」ではなく「出た利益をどう扱うか」だったりする。利益が出ること自体はもちろん悪いことではない。むしろ会社としては健全だし、事業が前に進んでいる証拠でもある。ただ、利益が出れば出るほど、次は税金の重さが気になってくる。さらに、せっかく残ったお金を何に変えるかで、その後の資産の増え方はずいぶん変わってくる。

このあたりから、社長ごとに選ぶ道が分かれやすい。気持ちよく使いたい人は、車や時計に行くこともある。知り合いに誘われて飲食店を始める人もいる。自分の好きなことを仕事に近づけていく感覚で、新しい事業に手を出したくなる人も少なくない。どれも間違いではないし、本人が納得しているなら他人が口を出す話でもない。

ただ、「お金が残るか」という視点で見ると、話は少し変わってくる。高級車は所有した瞬間から価値が落ちやすいし、飲食は思っている以上に労働集約的で、華やかそうに見えるわりに泥臭い。人も必要、現場も必要、毎日の運営も必要で、片手間にうまく回るほど甘くない。実際、勢いで始めたものの、数年たたずに閉じるケースも珍しくない。

そんな中で、昔から利益が出た経営者の相談先としてよく上がるのが不動産だ。しかもここでいう不動産は、「明日値上がりしそうなものを買って、すぐ売る」という短期売買ではない。基本は、家賃収入を得ながら、返済を進め、必要に応じて減価償却も使い、最後に売却も視野に入れるという考え方だ。投資というより、賃貸経営に近い。

この感覚が、経営者には意外と相性がいい。派手さはないが、毎月の収入があり、融資を使えるので手元資金を温存しやすい。しかも税金の調整もしやすい。さらに最後に出口まで取りやすい。この「持っている間」と「売るとき」の両方を見られるところが、不動産の強さでもある。

今回は、なぜ利益が出た経営者に不動産が選ばれやすいのか。株との違い、融資の使いやすさ、新築一棟と中古一棟の使い分け、そして区分マンションやタワーマンション、中古戸建てのような"手を出しやすそうに見える選択肢"との違いまで、もう少し腰を据えて整理してみたい。

利益の使い道は、社長の性格が出る

利益が出たときの使い道は、社長の性格がよく出る。その年のがんばりのご褒美として、自分の好きなものに使う人もいるし、周りに勧められて新しい事業に手を出す人もいる。もちろん、全部が悪いわけではない。気分よく働くための出費だって必要だし、人との付き合いも大事だ。

ただ、会社が少しずつ大きくなってくると、「気持ちよく使う」だけではもったいない場面が増えてくる。利益を出せるようになったからこそ、その利益をまた次の利益を生むものに変えたくなる。税金を少しでも抑えたいのも本音だが、それ以上に「払って終わり」にしたくないという感覚のほうが近いかもしれない。

株と不動産、経営者にとっての違い

そこで比較されやすいのが、株と不動産だと思う。どちらも資産運用の代表格ではあるけれど、経営者が本業と並行して持つという前提で見ると、案外性格は違う。

株は少額から始めやすいし、流動性も高い。ただし、そのぶん日々の値動きが大きい。上がるときは気持ちいいが、下がるときも早い。忙しい経営者が毎日相場を見て判断を続けるのは現実的ではないし、長期で持つつもりが、気づけば目先の値動きに振り回されていたということもある。

それに対して不動産は、もちろん無風ではないが、値動きのリズムが違う。市況の波はある。エリアごとの差もある。でも、株のように毎日数字を追いかける感じとはかなり違う。家賃収入が入ってくる限り、持ちながら待てるという性格がある。この「待てる」というのは、経営者にとって意外と大きい。

さらに不動産は、自分で手を入れられる余地がある。賃料をどう設定するか、間取りや設備をどう見るか、管理会社をどう選ぶか、修繕のタイミングをどう考えるか。株は買ったあとに自分で企業の中身を変えられないが、不動産は運営の質を上げることで結果を変えやすい。だから"投資"というより"経営"に近いと言われる。

項目 株式投資 不動産投資
少額スタート しやすい 融資活用で可能
値動き 日単位で大きい 緩やか・長期的
融資の利用 原則不可 物件担保で可能
自分で改善できる余地 ほぼなし 賃料・管理・修繕など多い
本業との両立 相場に振られやすい 管理委託で手離れしやすい

経営者にとって一番大きいのは「融資が使える」こと

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不動産の話になると、最終的にはここに行きつく。やはり大きいのは、融資を使えることだ。株を買うために銀行がまとまったお金を貸してくれることは、基本的にない。あったとしても一般的ではないし、会社から借りたお金を個人の株に回すような形になれば、見られ方としてもかなり危うい。

一方、不動産は物件そのものが担保になるため、会社や個人の財務内容が整っていれば、かなり大きなレバレッジをかけやすい。

💡 融資レバレッジの具体例
たとえば1億円の物件を持つとき、全部を現金で出すわけではない。条件にもよるが、自己資金は1,000万円から1,500万円程度で、残りは融資で組めるケースもある。購入時の諸費用もあるが、それでも「1億円の資産を持つために最初に必要なお金」は、思っているより小さく見えることがある。

この差は大きい。自己資金1,000万円で1億円の物件を持ち、家賃収入から返済や運営費を差し引いたあとも手残りが出るなら、自分のお金に対する利回りはかなり高く見える。経営者は本業でもレバレッジの感覚に慣れているので、この構造を理解しやすい。

しかも、手元資金を全部出さなくていいから、本業の運転資金を殺さずに済む。ここはとても重要で、経営者にとって現金は何より大事だ。いざというときに動けるお金を残しながら、資産形成を進められる。この点で、不動産はかなり現実的な選択肢になる。

不動産の魅力は「持ってよし、売ってよし」で設計しやすいこと

不動産投資という言葉から、安く買って高く売るイメージを持つ人は多い。でも、経営者向けに語られる不動産の魅力は、そこだけではない。むしろ基本は、持っている間にきちんと回るかどうかだ。家賃収入が入る。そこから返済をする。管理費や修繕費、保険料などを払い、それでも手残りが出る。まずはこの形をつくることが前提になる。つまり、いくら高く売れるかよりも、持っている間にどれだけ無理なく回るかのほうが重要だ。

そのうえで、不動産には減価償却がある。建物部分は時間の経過とともに価値が下がるという前提で、毎年経費化していける。現金がその年に大きく出ていくわけではないのに、税務上は経費になる。ここが、他の資産にはない強みになる。

さらに最後に売却という出口もある。しかも、インカムゲインを得ながら保有し、融資残高が減ったところで売却する形にできれば、売却時の見え方も変わってくる。つまり、不動産は「持っている間も意味があるし、最後に売る意味もある」資産だと言える。これが、使った瞬間に終わる高級車や、運営に人と時間がかかる飲食とは決定的に違うところだと思う。

もちろん不動産にも空室や修繕、金利や市況のリスクはある。ただ、それでも、きちんと回るものを選べば"お金を減らすための支出"ではなく"お金を残しやすい使い道"になりやすい。

新築一棟と中古一棟、目的で選ぶ物件は変わる

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不動産がいいと言っても、何を買っても同じではない。ここはかなり大事で、「儲けたい」のか「税金を抑えたい」のかで、向いている物件が変わる。

堅く増やしたい人は新築一棟

まず、堅く増やしたい人に向いているのは新築の一棟アパートや一棟マンションだ。賃貸需要が読みやすいエリアで、無理のない家賃設定ができる新築なら、古さによるトラブルも少なく、しばらくは大きな修繕にも追われにくい。派手に跳ねるタイプではないが、安定した賃貸経営になりやすい。

今の相場でも、エリアによっては6%台、条件がよければ6.5%前後の表面利回りで見える物件もある。そこに9割前後の融資を組んで、返済後に年間100万円台の手残りが残る形なら、自己資金に対する見え方としてはかなり悪くない。1,000万円投じて、毎年150万円前後残るような設計なら、数年で自己資金回収の感覚も出てくる。

そして、新築は長く持ちやすい。15年くらい保有しながら家賃収入を積み上げ、返済を進め、最後に売却まで見る。これが"儲ける"という意味では、かなり王道の考え方だと思う。

節税を強く意識するなら中古一棟

一方で、「今年かなり利益が出た」「法人でも個人でも課税が重い」「とにかく圧縮したい」という相談に近いのは、中古の一棟物件だ。特に、法定耐用年数を超えた木造や軽量鉄骨は、減価償却のインパクトが大きい。木造は法定耐用年数22年なので、それを超えていれば4年で償却する見え方になりやすい。軽量鉄骨も条件によっては5年程度に短くなる。

💡 減価償却の計算イメージ
たとえば、1億円の物件で土地5,000万円・建物5,000万円なら、建物部分5,000万円を4年で償却できると、毎年1,250万円の減価償却費が取れる。自己資金が1,000万円程度しか出ていなくても、大きな償却資産を持てるので、役員報酬や本業の利益が高い人にとっては、かなり強い。

つまり、不動産は一括りではない。安定収入を積み上げたい人には新築一棟、節税色を強く持たせたい人には築古一棟。目的が違えば選ぶ物件も違う。この当たり前の整理が、意外と抜けやすい。

不動産の節税は「単なる先送り」で終わらないことがある

節税商品と呼ばれるものは世の中にいろいろあるが、実際には"今落として、後で課税される"だけのものも少なくない。だから経営者ほど、「結局あとで税金が来るんでしょう」と冷静に見ていることが多い。それはその通りで、目先だけ見れば得したようでも、出口まで見ると単なる繰延べにすぎないことはある。

ただ、不動産はそこが少し違う。個人で持っている場合、保有中の所得は総合課税で、給与や役員報酬と合算される。一方で、売却時の譲渡所得は分離課税になる。高い税率帯の人ほど、この差は効いてくる。たとえば、保有中は50%近い税率で圧縮できるのに対し、売却時は長期譲渡で20%台に収まる。もちろん、売却益そのものがどう出るか、どのくらいの年数持つか、価格がどう動くかで結果は変わる。でも、「高い税率で落として、低い税率で着地できる可能性がある」という構造は、不動産の強さとして昔から語られてきた。

それに加えて、今の不動産市況は建築コストの上昇を無視できない。材料費も職人単価も上がっている。新しく建てるコストが上がれば、既存の建物の見え方も簡単には崩れにくい。もちろん、どんな場所でも値下がりしないわけではないし、田舎の需要が弱いエリアまで含めて強気に見られるわけでもない。でも、一定の都市圏とその周辺なら、以前より"極端に崩れにくい"と感じる人が増えているのも自然だと思う。

区分マンションやタワーマンションは見た目ほど堅くない

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不動産初心者ほど、「一棟は怖いから、まずは区分で」と考えやすい。金額も小さく見えるし、都心の人気エリアやタワーマンションなら、何となく安全そうに見える。実際、ここ10年の追い風相場で利益を出せた人もいる。ただ、それは結果としてうまくいった面も強い。

区分やタワーマンションは、安定した家賃収入を積み上げるというより、値上がり益に寄った商品になりやすい。つまり、投資として見ると、株に近い面がある。上がるときは大きいが、下がるときも早い。しかも、人気があるぶん価格が高く、買った時点でかなり期待を織り込んでいることも多い。

自宅として住んでいて、結果的に値上がりしたなら、それはかなりいい話だと思う。でも、純粋な投資として、「これからも上がるはず」で高額なタワーマンションを持つのは、思った以上にリスキーだ。経営者にとっては、本業のための融資余力も大切なので、限られた与信枠をそこに使うかどうかという問題も出てくる。

⚠ 注意
新築ワンルームも同じで、節税になりますと勧められることがあるが、毎月のキャッシュが出ていって、最後に値上がりしなければ成立しないようなものなら、かなりしんどい。節税はできたけれど、現金は減った。こうなると、本来やりたかったことと逆になってしまう。

中古戸建ては利回りが高く見えても経営者向きとは限らない

最近は中古戸建てを少額で買って回す話もよく聞く。たしかに、1,000万円以下で買えて、利回り10%超えのように見えると魅力的だ。少額で始められるぶん、不動産の入口としては分かりやすい。

ただ、経営者が利益の使い道として見るなら、少し違ってくる。まず、中古戸建ては融資がつきにくく、現金比率が高くなりやすい。つまり、不動産の一番の魅力であるレバレッジが効きにくい。さらに、1戸なので退去が出ると収入が止まりやすいし、古い戸建てはリフォーム費も重い。数十万円では済まず、100万円単位で飛ぶことも珍しくない。

しかも、1件ずつ増やしていくのは思った以上に手間がかかる。現場対応も増えるし、管理の効率も出にくい。少額から始めたい会社員が経験を積むという意味では分からなくはないが、利益が出た経営者がまとまった資産形成をしたいという文脈では、優先順位は高くないように感じる。

派手な物件より「静かに回る物件」のほうが長く残る

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不動産で失敗しやすい人ほど、見た目の分かりやすさで選んでしまいやすい。有名な立地、目立つ建物、誰でも知っているエリア。もちろん立地は大切だし、人気がある場所は強い。でも、それがそのまま投資として儲かることとイコールではない。

本当に見るべきなのは、ちゃんと回るかどうかだ。賃貸需要が安定しているか、無理のない家賃設定か、融資後でもキャッシュが残るか、出口が苦しくならないか。結局、不動産はこうした地味な確認の積み重ねになる。派手な物件は話題になりやすい。でも、堅い物件は静かに利益を積む。都市部の超一等地の派手な区分より、少し地味でも需要のあるエリアの一棟アパートのほうが、結果としてお金が残ることは普通にある。経営者の資産形成として考えるなら、こちらのほうが相性がいいケースは多い。

そのうえで、今期の利益対策を急ぎたいなら、不動産だけで完結しようとしないほうがいいこともある。築古一棟の減価償却は強いが、物件選定も融資も出口も含めると、やはり重たい意思決定だ。決算対策として、もっと比較しやすい方法を横に置いて考えることも大切になる。たとえば、即時償却や一括償却の対象になる方法を別軸で見ておくと、「不動産で取るリスク」と「今期中に処理したい課題」が分けやすい。

即時償却についてはこちら

Rapportsupport.com/sokuji shokyaku.

不動産が向く人もいれば、今年は別の手段のほうが合う人もいる。だからこそ、何が一番節税できるかではなく、何が一番"残るか"で見たほうが判断を誤りにくい。

まとめ

利益が出た経営者にとって、不動産が今も有力な選択肢である理由ははっきりしている。融資を使えるので手元資金を残しやすく、家賃収入というインカムがあり、減価償却による調整もできる。さらに最後に売却という出口まである。つまり、「使って終わり」ではなく、「持ちながら回し、最後にも残しやすい」という構造がある。

ただし、何を買っても同じではない。目的と物件タイプの関係を、改めて整理しておく。

物件タイプ 向いている人 融資 レバレッジ 節税効果 運用安定性 注意点
新築一棟 堅く増やしたい △〜○ 利回りは控えめ
中古一棟(築古) 節税を強くしたい 修繕・出口の見極め必要
区分マンション 値上がり依存になりやすい
タワーマンション 価格に期待織り込み済み
新築ワンルーム × 毎月キャッシュアウトの恐れ
中古戸建て 少額で経験を積みたい人 × 手間・空室リスク大

堅く増やしたいなら新築一棟。税金対策色を強くしたいなら法定耐用年数を超えた中古一棟。区分マンションやタワーマンションは見た目ほど安定運用向きではなく、中古戸建ても利回りの印象ほど拡大しやすいわけではない。

不動産は、派手さで選ぶとズレやすい。でも、目的と物件の種類が噛み合えば、経営者にとってかなり強い。利益をただ減らしたくない、でも無理な新規事業には走りたくない。そういうとき、不動産は昔から現実的な答えのひとつとして残ってきた。

結局のところ、今年の利益をどう扱うかは、その人の経営の考え方そのものが出る。気持ちよく使うのか、次の事業に賭けるのか、それとも静かに資産に変えるのか。その中で、不動産の強さは、見栄えよりも"残り方"にある。そこに価値を感じる経営者には、やはり相性がいいと思う。

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